SNS全盛の時代となった今、なぜ日本の女子高生が韓国のエッセイに夢中になるのか?
すっかり紙の本が売れなくなったこの時代に13万部を超えるベストセラー「すべての瞬間が君だった」を神本として下支えしているのが普段アナログ本を読まない女子高生だという。

なぜ女子高生のハートを掴んだのか?
理由のひとつはインスタ映えだ。パステルカラーを基調とし柔らかなイラストのファンシーな表紙デザインのものが多い。
もうひとつは本のタイトル。「頑張れ系」や「すべき系」とは真逆の「私は私のままで生きることにした」や、「あやうく一生懸命生きるところだった」、「怠けてるのではなく充電です」、「死にたいけどトッポッキは食べたい」などすっと女子高生のインサイトに入ってくる言葉が共感を呼んでいるようだ。
実際の内容はどうかと言うと、1ページに1メッセージといった構成になっているため実に読みやすい。これはエッセイと言うよりもポエムに近い。難しいことを語るのではなく、1ページにそのときその瞬間の感情をシンプルに切り出す手法が読みやすさを助けている。


詩人、ハ・テワンについて
本名がそのまま作家名となっている。ハ・テワン(하태완 / 河泰完 / Ha Tae Wan)
2017年、エッセイ「#君に」でデビュー。
2018年、エッセイ「すべての瞬間が君だった」発刊し50万分を超えるベストセラーとなり社会現象を巻き起こした。同年の「YES24今年の本」受賞。また同作品名でミュージックフェスティバル”LOVE SOME”を開催、WebToonとWeb小説を制作し、”ジョストゥーン”、”タウムウェブトゥーン”、”カカオページ”で連載。
2019年、「すべての瞬間が君だった」ミュージカル制作、韓国と日本で公演。
作品はもとより、その甘いマスクで多くの女性ファンを持つ。
ご本人から日本の読者に向けたメッセージがあるのでご紹介。
日本の読者のみなさんへ、著者からのメッセージ
『すべての瞬間が君だった』の著者ハ・テワンと申します。ふだん「一番旅行してみたいところは?」と聞かれると、どんな理由であっても、いつも「日本」と答えてきました。日本文化特有の繊細さと密度の濃い色合いがとても気に入っていたからだと思います。
どうか私からあふれ出た感情の活字が、日本の読者の皆さまにもささいな癒やしになれたらと心から祈っています。あなたのすべての時間は絶対無駄ではありません。
私たちの今日という1日も、けっして無意味ではありません。--ハ・テワン
紀伊國屋書店


オマケ | キム秘書はいったい、なぜ?(第1話特別公開)
ということで、話題はこちらに移ります。すでに日本でリリースされて2年が経ちましたが、「愛の不時着」に続き大ブレイクした「梨泰院クラス」でパク・ソジュンを初めて見た、という人が彼の出演ドラマをさかのぼって見る現象が起きています。そのひとつが「キム秘書はいったい、なぜ?」。
このドラマの劇中で 「すべての瞬間が君だった」 の一節をパク・ソジュンが朗読するシーンが話題となりました。
未だ見ていない、という方はこちらの動画をどうぞ。(この動画内に朗読シーンはありません)